(第2回) 外国人の友達づきあい(多国籍である)
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国際結婚をすると、新たな友人・知人づきあいが生じます。これが外国生活を、そして国際結婚生活を豊かに、または蝕む大きな鍵、この国を第2の故郷と思えるかに影響するといっても多言でないでしょう。
単純なことですが、パートナーの友人が、私の言葉を話さないことがあります。パートナーと2人でいるときは1対1ですが、友人とのパーテイーなどに出席すると、1対何十人の外国人に取り囲まれる。その度合い/頻度によっては負担になることも。
着目すべきは、ドイツ人は往往にして友人たちと一緒に活動するのが好き。友人が多く、家族ぐるみで誕生会やバーベキュー、時にはウアラウプまで一緒、なんてパターンも。ここまでは同郷者との結婚の場合もありうる話でしょうが、厄介なのはその場では夫婦間の共通語が通じない、ということ。 (国際結婚→言葉)
2人の間では通常ゆっくり共通語を話してくれるパートナーも、長年の友人達、ましてやアルコールが入るとさらに流暢、語彙も全く異なり意味不明。仲間外れやパートナーの羞恥心を慮り、「うんうん」うなずいているうちに、会話に全く参加できず、緊張のあまりうたた寝してしまってひんしゅくなんて話も聞きます。
ネイテイブ同士のドイツ語レベルについていくには相当の語学力が要求され、話好きなドイツ人、自分の意見を主張するように育ってきた環境では、ディベイトする習慣のない日本人には、全員を敵に回している錯覚に陥ることも。
その逆で、パートナーに友人が(少)なく、自分自身の興味関心にばかり熱中し、私の友人付き合いに理解がなく、よって束縛されるように感じるパターン。もともと一匹狼。故に自分が日本語環境を恋しがる気持ち、又は定期的に日本へ一時帰国して友達に会いたがる気持ちが理解できない。これは、日本人同士でももちろんあるでしょう。違いは、日本人パートナーの依存度の変化。来独当初は言葉が不自由な日本人パートナーを幼児を庇護するように支えてきたのが、言語上達と共に自立して仕事をし、独自の友人世界を獲得していく。納得がいかず、自分が放置された感覚にとらわれ焦燥感、放置感、失望。夫婦仲へのヒビ。
この解決策は、話し合う、でしょう。感情的にならず、変な遠慮をせず、私の限度はここまで、とはっきり話し、援助をしてもらう。日本人はどうしても頑張りすぎて、まじめに考えすぎ。国際結婚をしてる人は、24時間民間親善大使をしていると勘違いしていませんか?
日本人だから、というプレシャーに負けず、色々な人がい、ドイツの常識とか振り切って、時には嫌なことは嫌だ、とか無理だ、と言ってしまっていいんです。「日本人のおもてなし精神」は美徳とされますが、楽しくて初めて来客は迎えられるもの。ビュッフェ形式のセルフサービスにしてしまえば、一緒に楽しめますよ。もし頻繁にパートナーの友達と会うのが負担ならば、何故大変なのか(メニューを決められない、買い出しが大変、料理下手、掃除手伝ってほしい、などと)を具体的に話し合い、パートナーと負担軽減策(一緒に買い出し、掃除を手伝う、料理を外注、会う頻度を軽減)を見出すといいでしょう。相性の合わない友人とは頻繁に会わない、又は外で会ってもらうなど、工夫方法は色々。住居は、自分を守り、癒し、力を補給できる場であるはずなんだと確認しあってください。もしも窮屈、と考えた場合、じゃあ自分は自分の友達とだけ付き合っていけばいいんだろうかと自省してみてください。自分のパートナーの友達を見ることで、本人のことを知ることができます。
物は考えようで、パートナーの友人のお陰で、意外な新しい趣味を発見することも。半強制的?郷に入っては郷に従え?とまではいかなくとも、1回だけ色々試してみてはどうでしょうか? マラソンや、キャンプ、サーフィンや マウンテンバイク、音楽を始めた人がいますよ。多国籍な友人に出会い、グローバルな世界観を培う良い機会になります。国際結婚には思いもよらないチャンスが潜んでいます。ドイツ人でも超親日家がい、和風思考(礼儀、思いやり、謙遜、時間厳守、律儀など)をする人がいてびっくりします。外見が自分と違うからと毛嫌いせず、その中身を見る努力を惜しまずにいると、日常生活も次第に明かりが見えてき、緊張感が薄れてくるでしょう。
また、海外生活をする上で必須なのは、類似状況の友人作り。その必要性ををパートナーにも理解を求めてください。自分と同様に国際結婚をしている人との交流のお陰で、情報を交換し合ったり、時には日本語(またはダパーニッシュ)だけで話が出来たり、困ったときにただただ話を聞いてくれたり、一人じゃないよと慰めてくれたり。そんな仲間がいると、外国で戦っている、という意識が軽減するでしょう。一緒に貴重な和食を美味しいと食べることで、どんなに心が休まることか。
お住いの近隣に、日独コミュニテイーだどこかにあるでしょうから、積極的にコンタクトを取り、同郷者、先輩方から、色々知恵をもらってください。一人で悩むことはありませんよ。
執筆:フィッシャー平松さん(「竹の会」理事・日本とドイツの看護師、デュッセルドルフ)
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