(第3回) 外国人の義理父母、親戚づきあい
___________________________________________
国際結婚をすると、義理両親や親せきとの付き合いが生じます。もちろんその人たちは、私の母国語を話しません。夫婦間の共通語がドイツ語でなかった場合、、家族パーテイーがある度に、空気の揺れ、時にはこんな言葉の電流ショックで全身感電するでしょう。
「いつになったらドイツ語勉強するの?」とか、
「あなたのドイツ語は分からない」。
「XXXX、ああ、このXXXXXって言葉の意味わかる? あなたには難しいわよね」など。
ドイツ人は悪気があってそう言うのではなく、100%理解し合いたい、私と話をすることでドイツ語を上達して欲しい、ドイツでの生活を確立するためにはドイツ語が必須という気持ちが強いために、このような表現になってしまうと思います。あなたのためを思って言っているのよ、と。ダイレクトなんです。
ドイツ人は大抵、家族間の絆が深く、近隣に住む場合は毎週日曜は一緒に昼食なんてこともあります。誕生日は集まるし、こちらの祝日では一緒にデイナーをしたり、教会に行ったり。神聖なクリスマス祝日である12月25日26日も、ドイツ人ですら両親義理両親と対等に会うために、チェックリストをつけて例年順番を決めて交互にお祝いをするようにしていると辟易しているぐらいです。面倒なので、クリスマスは祝わない、旅行に出るというカップルも多いと聞きます。
若い二人にとって、初めての義理両親は、どう対応したらいいのか不明、ましてやそれが外国人となると勝手がわからず、つい相手に合わせがちです。そして日本人の美徳である、年上の人には敬意を払う、が念頭から消えず、どうしても振り回されることが多いもの。
義理両親は、自分の息子、娘が幸せでいることを確認できれば、そして他の人じゃあだめなんだ、という気持ちが実子張本人から感じられれば、あえて何も言わないものです。より良い人間関係を作る秘訣は底辺を広く、相互がRespekt(敬意)を払って、一定物理的心理的距離を保ち、されど共通項を抑えておくのが肝心でしょう。悪気はないんだ、と信じること。被害妄想に陥らない。時間をかけて成熟するワインのように、ゆっくりと関係を実らせていくといいでしょう。
義理の両親にとっても、初めての経験、戸惑いが多いのです。その分、「外国人の義理娘、義理息子はこうあるべき」というようなマニュアルがない分、自由に関係を作っていくことができます。また、日本人同士の夫婦が外国在留するのに比べて、その関係によってはドイツの習慣や言葉、そしてドイツの育児の仕方や料理などを教えてくれる力強い応援者になり、何かと支えになることも。 彼らにとっても初体験で、人生においての新開地の開拓。
もし私たちが国際結婚でつながっていなければきっと一生関心すらもたなかっただろう他国=日本に興味をを寄せる、または旅行してみるチャンスを提供しているんだ私は、という認識を持てればもうこっちのもの。日本人義理娘、息子のお陰で、海藻や味噌に興味を持ち、日本人家庭のように、コメ、味噌、わかめ(昆布)やショウガ、醤油が常備というドイツ人家庭もありますよ。また日本に住む自分の親にも、頻繁に会えない不憫さにばかり嘆くのではなく、健康なうちはできる限り来独してもらい一緒に旅行へ出かけたりするチャンスを持つのも、両親の世界観を広げ、自分のパートナーの義理父母との関係向上につながり、最終的には自分たちの国際結婚理解者となってもらえるきっかけになります。
この際、国際大使にでもなった気分で、日本をプレゼンテーションしてみてはどうでしょうか?その為には、自分も日本に対しての知識を蓄えないといけないという、副作用が生まれますが。
同じ気持ちを、自分のパートナーが一緒に日本へ一時帰国した時に抱いていることも忘れないでくださいね。
執筆:フィッシャー平松さん(「竹の会」理事・日本とドイツの看護師、デュッセルドルフ)
___________________________________________