ドイツに暮らす在留邦人の健康支援ネットワーク(JAMSNETドイツ*)設立の趣意(抜粋)
* Japanese Medical Support Network
代表: 馬場恒春(内科、デュッセルドルフ)
代表代行:中川フェールベルグ美智子(産婦人科、デュッセルドルフ)
副代表:ホーネカンプ山本有(臨床心理士、デュイスブルグ)、宮川順充(歯科、シュツットガルト)
アドバイザー(2024年現在助言をお願いしている方々です。あいうえお順):シュペネマン望(DeJak-友の会代表、ベルリン)、土居真理(臨床心理士・公認心理師、デュッセルドルフ女性相談センター「Chance」相談室、デュッセルドルフ)、森由紀子(内科、デュッセルドルフ)、フィッシャー平松由紀子(看護師、竹の会「Bitte どうぞ」相談室、デュッセルドルフ)、藤原壯(リハビリ科専門医、Klinik Königsfeld、エネペタール)、柏原誠(大学国際課、ベルリン)、山内美慧(耳鼻咽喉科、山内耳鼻咽喉科、ベルリン)(以上、敬称略)
連絡先:: info[at]jamsnet.de
1.目的:
邦人医療関係者間の情報交換・連携。ドイツ在留邦人の医療分野での支援。
2.背景:
邦人はドイツで日本在住時に比べて言語的問題が大きく医療アクセスが困難な状況にあり、苦労を強いられている。健康問題、特にメンタルヘルスの問題は言語的・文化的背景の理 解が必須であるため邦人にはより一層厳しい環境である。地域によっては邦人が多数在留し医 師・ 看護師・カウンセラー等医療専門職として活動している者もいるが、ドイツ全土に邦人が点在する在留状況を鑑みるならば、全土的邦人医療専門のコミュニティや支援ネットワークが不完全で あるといわざるを得ない。ドイツの医療制度および環境は他の国々と比しても充実しているが、外国人の中でも極少数派の日本人はその恩恵を十分に受けることは個人の力量に左右される要素 が大きく、十分なサービスを受けるためにも、邦人社会全体としての支援体制の確立や専門家による支援が必要である。
3.ネットワークの概要
参加メンバー: ドイツ在住の医療、保健、福祉、教育関係者および団体、およびドイツでの医療、保健、福祉、教育分野に深く関わっているドイツ国外の個人および団体。
活動内容: メーリングリスト、ウェブサイトを介して、ドイツ国内に在住あるいは滞在中の邦人に対し、相互扶助の精神に基づき、医療、保険、福祉、教育、生活などに関する情報提供や情報共有の場を築き、邦人の利益の増進に寄与する活動を行う。また、メンバー間の勉強会、一般邦人向けの医療関連の講演会なども行う。
他地域との連携: 他国の同様な団体と連携することにより、他地域の医療関係者との情報交換 を可能にし、照会・紹介先としても確保する。具体的にはジャムズネット・ワールド、世界各地域のジャムズネット(東京、ニューヨーク、カナダ、アジア)、メンタルヘルスネットワーク、医務官ネットワークなど。
災害・緊急事態の発生時: 大使館・総領事館と協力して邦人の被害状況の把握などの情 報収集、邦人に対する情報発信に有効である。またテロや自然災害発生時、邦人支援の ためのボランティアが必要になった状況でのリソースとしてもネットワークは有効に機 能することが期待される(テ ロ・大規模災害、流行感染症、自然災害の発生時など)。
2016年6月28日(ベルリン)
JAMSNETドイツからのご挨拶
ジャムズネット(JAMSNET)は「邦人医療支援ネットワーク(Japanese Medical Support Network)」の略です。ドイツ在住の医療、保健、福祉分野の専門家とドイツの事情に詳しいドイツ国外の会員が、ドイツで生活する在留邦人の心身の健康を支援するボランティア(非営利)のネットワークです。
ドイツは日本と同じように医療保険制度が発達し、診断や治療レベルも高い医療先進国です。それにも関わらず、言葉の問題、医療システムの違いなどから不自由を感じていらっしゃる方も少なくありません。お子様の定期予防接種の項目とスケジュールの違いから、どうすべきか戸惑われることもあります。出産に関しても、ドイツで出産するにはどうしたら良いのか、日本に戻った方が良いのかと迷われる方が多くいらっしゃいます。
海外に生活している中での身体の健康、こころの悩みへの対応、長期在留邦人の高齢化に伴う課題、空き巣・すり・テロ事件など生活面での安全、さらに家庭内暴力や性暴力など多くの問題に関わる情報を日本語で提供してまいります。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
馬場恒春(代表、デュッセルドルフ)
中川フェールベルグ美智子(代表代行、デュッセルドルフ)
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JAMSNETドイツ設立10年を振り返って
今年(2024年)は元旦の能登半島での大地震、翌2日の羽田での大事故と続き、心の痛みます年明けとなりました。
ドイツにお暮らしの皆様方の中にもご親戚やお知り合いにも被災されました方がおいでになられるかしれません。
被災された皆様とご家族に心よりお見舞い申し上げますと共に、多くの方々がこの寒中まだ避難生活を余儀なくされています被災地の一日も早い復興を願ってやみません。
お陰様でJAMSNETドイツ(ドイツに暮らす在留邦人の心身の健康を日本語でサポートするネットワーク)もこの1月をもちまして設立から10年になりました。この間多くのメンバーの方々のご理解とご協力により、多少なりともドイツにお暮らしになられています邦人の方々への情報提供および医療の橋渡しのお手伝いをすることができました。
特に、在ドイツ日本国大使館、在デュッセルドルフ日本国総領事館をはじめとします公館の皆様のご理解、DeJak-友の会(シュペネマン望代表)、竹の会(浅井ベルガー昭子代表、オプハイ斎藤洋子前代表)、ライン・マイン友の会(中田ヘルヴィッヒ恵子代表)からのご協力、ドイツ国内でご活躍されています臨床心理士の皆様、家庭内暴力・性暴力の問題に取り組んでいますデュッセルドルフ女性相談室、内科、婦人科、耳鼻咽喉科、外科、歯科、救急医療などドイツ国内で医療に携わられています医師、歯科医師、看護師、薬剤師の方々、法律に関する知識と助言をくださっています法律家、ソーシャルワーカーをはじめとします各領域の専門家の皆様、そしてお隣のフランスの邦人健康サポートの会(折口志都代表)や貴重な情報とご助言をくださいます世界各地のJAMSNETのメンバーの皆様に心より感謝するものです。
振り返りますとドイツのJAMSNETは2014年1月に在ドイツ大使館の本間直人領事(本帰国)、言語聴覚士の加藤智絵里先生(当時マインツご在住、現在大阪大学耳鼻咽喉科)、柏原誠氏らのお力により産声を上げました。2016年より小職(馬場)が運営のお手伝いに関わらせて頂いていますが、今から約8年前の6月にベルリンのホテルロビーにボーフムの故渡辺レグナー嘉子氏(DeJak-友の会設立者)、ビーレフェルトの歯科医師の大庭美和子先生(本帰国)、ベルリンの柏原氏、デュッセルドルフの内科医のノイゲバウアと小職の5名が集まり、JAMSNETドイツとしての活動やウェブサイトについて初めて話合いましたのがつい最近のように思い出されます。その年から故渡辺レグナー氏、婦人科の中川フェールベルグ先生(現代表代行)、臨床心理士のホーネカムプ山本 先生(副代表)、歯科の宮川先生(副代表)、そして竹の会のオプハイ斎藤氏、「Bitteどうぞ」相談室のフィシャー平松氏、DeJak-友の会のシュペネマン氏、デュッセルドルフ女性相談室「Chance」の土居氏をはじめとしますドイツ各地の実に多くの方々のお力を頂きながら微力ながら少しづつ出来ます範囲の中での地道な活動を行ってまいりました。そしてお陰様で昨年(2023年)秋に欧州で初めてのJAMSNETワールド会議、さらにDeJak-友の会、デュッセルドルフ日本クラブのお力を賜り「海外に暮らす私たちの安全、生活、健康、医療」のテーマてにて講演・勉強会を持たせて頂くまでになりましたのは、その間のメンバーの皆様の多大なるご協力がありましたためと理解しております。
この10年の間に在留邦人の皆様の生活様式は大きく変化、多様化し、海外で暮らす邦人数もさらに増え(外務省の2023年の海外在留邦人数調査統計)、以前は各地での講演会に頼ってきました情報伝達手段もコロナ禍を境に大きく変わってまいりました。ドイツに暮らす邦人の健康、こころの病の予防と対応、国際結婚・離婚に伴う課題、今後懸念される高齢在留邦人の認知症の問題、そして今だ予断を許さない感染症やテロにおける邦人の安全と安否確認などゝ、取り組んでいきたい多くの課題が頭に思い浮かびます。
今後も皆様と一緒にこれらの課題や問題への対応を考えていくことができればと考えております。
JAMSNETドイツができて10年が経ちますので、これを機会により時代に合いました邦人支援を考え、この1年をかけまして各專門領域ごとの連携のさらなる充実、ウェブサイトおよび事務局に関します幾つかの見直しを行っていきたいと考えています。
今後ともドイツに暮らす在留邦人の心身の健康のため、ご協力、ご指導のほどどうぞ宜しくお願い申し上げます。
記:馬場恒春(JAMSNETドイツ代表、デュッセルドルフ)
設立10年を迎えて
JAMSNETドイツの皆様
2014年、ドイツの北の端ベルリンにて3人で立ち上げたJAMSNETドイツが、この度10周年を迎えることになりました。現在JAMSNETドイツは連絡メール登録者数が90名抱えるほどまでに発展を遂げ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、スイス、日本のJAMSNETとともに連携を取りながら協力し活動できていることをとても嬉しく思います。近今はフランスやアジアの方々とも繋がることができ、文字通り、海外在住邦人医療に関する世界ネットワークが出来たことを、感慨深く感じております。
馬場代表をはじめ、会員の皆様おひとりおひとりの想いが結集した活発な活動により、邦人への医療サポートについて学びを深め、様々な相互援助が可能になったことは素晴らしい成果であり、また、このようにJAMSNETが継続的に発展してきたことは、その活動がいかに大切であるかということの証ではないでしょうか。
コロナ禍を経て発達したオンラインでのコミュニケーションを駆使しつつ、絆をより一層深めるとともに、医療の不安や問題を少しでも軽減することに貢献し、健やかに活躍できる一助になれるよう、自分ができることは何かを問いかけながら、共に歩んでいければと願っております。
柏原誠(JAMSNETドイツ設立時世話人、ベルリン)
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